プロ野球シーズンが終盤に入ると優勝に近いチームにマジックナンバーが点灯します。通常は優勝するチームにマジックが点灯しそれが次第に減っていき、0になると優勝決定となるものです。しかし2014年のパ・リーグでは優勝したホークスは一度も優勝マジックを点灯させることなく優勝に辿り着きました。マジック自体は点灯するにはしたのですが、点灯させたのは首位ではなく二位にいたバファローズでした。その珍事の様子を数字で追ってみることにします。

状況を追うにしても優勝マジックナンバーが何か分からなければ意味がないので、どういうものかを簡単に記しておきます。(厳密に言うと不正確な点があるかもしれませんが、状況を追うのには問題ない程度でしょう。)

自力優勝

優勝マジックを語る上で欠かせないのが自力優勝の可能性です。大雑把に言えば、残り試合を全勝すれば優勝できる状況であるということです。

マジックに関して言えば、自力優勝の可能性の消滅の方に意味があります。自力優勝の可能性が消滅するというのは、残り試合を全勝してもさらに良い戦績をほかのチームが成し得ることができる状況です。

残り直接対決の試合数によりますが、通常、低い順位のチームからこの自力優勝の可能性が消滅していきます。

優勝マジックナンバー

こうやって最も高い勝率を取りうるチーム(以下に記すように首位のチームとは限りません)以外の全てのチームの自力優勝の可能性が消滅した時にマジックナンバーが点灯します。最後に自力優勝の可能性が消えたチームがマジック対象のチームとなります。 マジック対象チームが全勝しても、すなわち、マジック点灯チームが直接対決で全敗しても他チームとの対戦で全勝すれば優勝可能な状態なので点灯するマジックの数値は次のようになります。

最初に点灯するマジック = 残り試合数 - マジック対象チームとの残り直接対決試合数

マジックが点灯したチームの戦績の変化により、他のチームに自力優勝の可能性(首位のチームが対象チームとの直接対決に全敗してしまうと優勝できない可能性)が生じるとマジックは消滅します。残り直接対決数の関係でマジック対象チームは二位以外のチームになることもあります。


マジックが点灯する前日から戦績とその日の戦績を元にして想定した以降の勝率を見ていくことにします。実現性は低いですが、ホークスの残り試合である4試合まで引き分けを想定してます。想定した数値で注目すべきものに印を付けています。

留意事項

残り直接対決数 1

この時点でホークス、バファローズの対戦成績は共に11勝11敗1分で、直接対決の残りは1試合です。そしてこの直接対決はホークスの最終戦144試合目となっています。

  • 9/24 マジック点灯前
  • この日の結果を元にした以後の勝率の一部を示します。

    首位ホークスよりも残り試合の多いバファローズの方が勝率の伸びしろが大きいです。同様の勝率を達成するにはバファローズの方が勝たなければならない試合数が多いので厳しい状況です。

    首位ホークスがバファローズとの残りの直接対決に敗れる場合の最高勝率(残り3勝1敗)は.5797で、バファローズは残り7勝1敗1分け以上でこれを上回ること(自力優勝)が可能なのでホークスにマジックの点灯はありません。

    逆に、バファローズがホークスとの残りの直接対決に敗れる場合の最高勝率(残り8勝1敗)は.5845で、ホークスは残り試合を全勝すればこれを上回ること(自力優勝)が可能なのでバファローズにもマジックの点灯はありません。

    以後、このような点に着眼してマジックが点灯するかどうかを見ていきます。

  • 9/25 マジック初点灯 M7
  • この日の結果を元にした以後の勝率を見てみます。

    バファローズはホークスとの直接対決1試合に敗れても7勝すればホークスが全勝した勝率を上回ることが出来る状況であるので二位ではありますがバファローズにM7が点灯します。もちろんマジックの対象はホークスです。数字上は7勝せずとも6勝1敗1分けでホークスの全勝勝率を上回れる状況です。

  • 9/26 点灯中 M6
  • ホークスが敗れたため、ホークスの伸びしろが縮み、バファローズはホークスとの残り直接対決1試合に敗れても6勝すればホークスが全勝した勝率を上回ることができるのでM6です。

    双方ともに敗れたために順位の変動はありません。

  • 9/27 マジック消灯
  • 残り試合数の多いバファローズに勝率の伸びしろが大きいことは変わりありません。バファローズは首位ホークスとの残り直接対決が1試合あり、これに敗れてしまうとホークスの全勝勝率を上回ることが出来なくなります。つまり、ホークスに自力優勝の可能性が再び生じるためマジックは消灯します。逆に、ホークスがバファローズとの直接対決に敗れた場合に取りうる最高勝率をバファローズが上回ること(自力優勝)が出来るのでホークスにもマジックの点灯はありません。

    下位のバファローズが敗れたため、順位の変動はありません。

  • 9/28 マジック点灯無し
  • いよいよホークスの残り試合が直接対決のみとなりました。ホークスがこれに勝つと勝率は.5652でシーズンを終了し、バファローズは他の4試合に全勝しても勝率.5634でホークスを上回れないのでホークスの優勝が決まります。このようにホークスに自力優勝の可能性があるのでバファローズにマジックは点灯しません。

    このようにホークスは残り1試合を勝てば優勝が決まるのですがM1ということにはなりません。ホークスが直接対決に敗れるとすると勝率.5580でシーズンを終え、バファローズは他の残り試合の結果でこれを上回ること(自力優勝)ができるのでホークスにもマジックは点灯しません。

    双方ともに敗れたために順位の変動はありません。

  • 9/29 マジック点灯無し
  • 前日同様に双方が自力優勝できる状況なのでマジックの点灯はありません。

    バファローズのみの勝利のため、0.5ゲーム差縮まるのみで順位の変動はありません。

  • 9/30 マジック点灯無し
  • 前日同様に双方が自力優勝できる状況なのでマジックの点灯はありません。

    ホークスに試合が無い間にバファローズが連勝し貯金数が同じになったためゲーム差(=貯金の差の半分)がなくなりました。

  • 10/1
  • 両リーム試合無し

  • 10/2 ホークス最終戦 ホークス・バファローズ直接対決
  • ホークスは全試合を終了したため勝率が確定しています。バファローズは残り2試合を全勝してもこの勝率を上回れないので、ホークスの優勝が決定しました。ホークスは一度も優勝マジックを灯すことがありませんでした。

    ホークスは全試合を終了しました。


    この日に勝ったほうが優勝とか言われるのを聞いたことがありますがバファローズについてはそれは当てはまりません。この日にホークスが敗戦、バファローズが勝利していた場合の以後の勝率を見てみます。

    このようにバファローズが残り2試合を連敗し一勝もできなかった場合はホークスの勝率を上回れないので優勝を逃してしまいます。